まず最初にGOSHIMA絨毯を説明する時、
「この絨毯は、デザインは日本から。
作っているのは、モロッコ・トルコ・ネパールの工房です。
新しい絨毯ですが、作り手の技術は古くから継承されてきたもので、
その伝統と、私たち日本人の感性を融合させた絨毯です。」
とお伝えします。
そう聞いたお客様からは、
「日本人がデザインしているのね。
何か今までの絨毯のイメージと違うなぁと思ったのはそうだったからなのね。」
と言っていただくことがあります。
“日本人デザイナー”がデザインして、それを各国の作り手が作る。
あくまでも日本主導。日本人による、日本のための、日本のデザイン。
のように見えて、そうではない、というのがGOSHIMA絨毯のデザインです。
絨毯のデザインは古来より、文様に祈りや願いを込め、代々その地域や家に受け継がれてきた絵柄だったり、もはや意味をなさないほど使い続けられてきた古い図柄だったりします。
織物は、実用性と美と哲学をあわせ持ったもの。
だから、世界中の多くの人を魅了し、一度出会ってしまったらどんどん好きになって虜にしてしまう。
「絨毯」という世界は果てしなく興味深いものです。
現代に誕生したGOSHIMA絨毯のデザインには、
使い手の思いを浮かべることができる“余白”があります。
その“余白”というのは、単に、絵柄に落とし込まれた空白のことではありません。
これから受け継いでいくものを、次世代に託していくことを、使い手の意思として付加していける。
そんな意味での“余白”です。
時折、
アンティークとなっているオールドの絨毯に魅了されるのは、
どこかの国の昔の人が織物に込めた願いや祈りが、長い時間をかけて、何十年・何百年後に生きる私たちに届くからなんだと思います。
GOSHIMA絨毯は、今を生きる私たちの時代から始まります。
だから、願いや祈りを込めるのは、作り手ではなく使い手です。
デザインも作り手も、使い手にとって願いや祈りが込めやすいように整えます。
そんな意味で、GOSHIMA絨毯には“余白”がある、と考えています。
使い手が込めた願いや祈りは、いつかこの世界に生きる誰かへ届くかもしれません。
ここに、一枚のGOSHIMA絨毯があります。
メモリアルオーダー・アーモンド。
基本となる図柄にアレンジを加えて作られた一枚です。
飛ぶ鳥は子供達。
木の葉に色を付けたのは、お父さん・お母さんのいる場所の印。
家は、戻ってくる場所。
この一枚は4人の子供たちへ向けて、
その子たちのお母さんからの贈り物でした。
出来上がって敷いてみてみると
「子どもたちにいいものが残せた。」
と、ひと仕事終えたような満足感だったようです。
この小さな背中が、
やがて
子どもをおんぶしたり、
背広を着て「行ってきます」と出ていく姿に変わっていく頃、
この絨毯はどんな表情に育っているのでしょうか。
GOSHIMA絨毯のデザインがもつ“余白”には、
記憶と思い出、そして未来への希望が含まれていきます。
シリーズ記事[GOSHIMA絨毯のこと]
–目次–
【1】絨毯と育む
【2】絨毯のデザイン
【3】こだわりの厚み
【4】価格の決め方
【5】オーダーメイドで絨毯を作るということについて