GOSHIMA絨毯に欠かせない「色」のデザイン。
百花万華のデザイン画を描いた時、
絨毯の大半を占めるフィールドの部分は
パステルで描いた。
曖昧な、夢のような朧げな印象を作りたくて
ぼんやりと境のない色面を何枚も描いた。
48色の新しいパステルを使って、
日本の暮らしに馴染む、
派手さや目新しい色彩ではなく、
どこか懐かしいような、
そして永く普遍的に美しいと思える
そんな色を探した。
とことん曖昧な色面は、
身近な様々な景色とあい重なりあってくる。
その曖昧なフィールドの上に、花のモチーフを乗せてデザインを完成させた。
現地へ行って、丸1日かけて「ヒャッカバンカカラー」を決めた。
まずはカラー見本の中からデザイン画にはてはめていく。
絞りに絞って、百花万華で使用する色はウールとシルクで約30色。
最終的に、仕上がったデザインは14デザイン。
そのうち、1デザインは断念。もう1デザインはスタートラインに立てなかった。
9月のリリース時は12デザインでお披露目となった。
通常、「デザイン画」から「デザイングラフ」が作られる。
織子さんはそれを見ながらひと結びずつ織り上げていく。
百花万華で描いた曖昧なフィールドは、明確な境がないから、どうやって色面を切り替えていくのか、その指示となるグラフを作るのも難しそうだったし、織子さんへデザイン意図やそれに対する指示が伝わるかも不安だった。
これは、「ミスランガナ・混じり合う」というタイトルの一枚のデザイングラフと実物。
デザインペーパーとデザイングラフと照らし合わせてイメージの共有を深め、
仕上がってきた絨毯はとても不思議なそして魅力的な表情をしていた。

思い返せば・・・5月の暑いネパールの地で、
なんども、なんども、時には本を見せて、時には大げさなジェスチャーで、視覚的なイメージを共有することに気持ちを向けていた。気がつけば、その共通認識・イメージの共有のために費やした時間は1日ではおさまらなかった。わかるまで話す、ということとは違って、
私たちが作りたいイメージを、作り手となる相手が受け止めようとしてくれているかどうか、がまず大切なことだったように思う。「やってみるよ」ということに話が落ち着く時、決してそれは無理強いや一方的な注文や相手の妥協ではなく、未知なるものに挑戦してみようと思う気持ちを持ってくれた現地パートナーへの期待が膨らむ。不安と期待が入り混じる中で、
大切な資金を、その「やってみるよ」に投資する方も冒険だ。
長年手織りの絨毯を作ってきた作り手の工房も、
長年手織りの絨毯を売ってきた三方舎も、
どちらもそれぞれの経験の中で「こうした方がいい」という見解がある時、
GOSHIMA絨毯のデザインは、どこに考えの中心があるかというと、
最終的に「日本の暮らし」とそこにいる「使い手」である。


だから、改めて「日本」の暮らしや「日本人」であることについて考えた。
GOSHIMA絨毯のデザインは、
文化も歴史も違う国との協働の中から「日本=私」を見出すものとして
そしてそのことが、売り手・作り手双方の新しい 価値観につながり、
はたまた、その輪の中に使い手をお誘いするための、
とても大事な役割を担っている。
新しい絨毯だからこその醍醐味。
色についての話はこれからまだまだ続きます。
(つづく)
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