(この記事は、GOSHIMAを創った男・今井正人が綴るプロジェクトアーカイブ記事です)
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2度目のモロッコへ
長年通って 行き慣れたエミレーツ ドバイ経由。
とにかく長い。
1回目はイランの帰りだったから日本から行くのは今回が初めて。
とにかく長い。
ほぼ地球の裏側
家を出てからカサブランカの空港に着くまでおおよそ30時間
とにかく長い。
やっと到着。
到着口を出たら待っているはずのヒシャムが本当に居てくれるのか…
やっぱり居ない…
出口にいるはずのヒシャムが居ない。
きっと一度会っただけの日本人の小さな夢に巻き込まれて面倒くさくなってドロンしたんじゃないか。
これで終わりかな…
夢は儚く終わっちゃうのかな…
それより帰りのチケットは10日後それまであてなく何をどうすればいいのか…
携帯番号は聞いていたが電話するすべもなく一人立ち竦む。
タクシー運転手) ヘイ!乗らないか?
″マイフレンドノーカミング″
よくわからない英語を話しても、運転手よくわからないので携帯番号のメモを見せたらその場で電話してくれた。
どうやら繋がったらしい。
運転手、ここでいろ、のジェスチャー
待つ事 数分。
来た、居た、ヒシャムが来た。
どうやら出口が2つあり わざわざメイン出口じゃない方から僕は出たらしい。
ヒシャム、先ほどの運転手と軽い口論
お金をくれと要求されたみたい。
異国での軽い洗礼。
すまない。ヒシャム。
でも ほっとした。
10月のカサブランカはモワッとした風が吹いていた。
そのまま夕方まで待って国内線でマラケシュへ。
空から見るマラケシュの夜景が外国特有の街灯のオレンジ色で染まっている。
古びた空港。
一段と風がモワッとして暑い。
その日はタジン鍋を食べ早目に休む。
かなり深い眠りから目が覚めるとまだ2:00気持ちが高ぶるのか時差ボケなのかもう朝まで寝れない。
海外に行くと毎回だから疑う余地なく時差ボケ。
朝食後、4WDでヒシャムが迎えに来る。
村へはこの車じゃなきゃ行けないと言う。
相当なオフロードを覚悟。
まずマラケシュからアトラス山脈ティシュカ峠2260mを越えワルザザードへ
車中、お互いの生い立ちや家族の事
これからの夢 話せる限り話尽くす。
ワルザザード手前を大きく右折。
マラケシュの街中を出てからここまで信号機が一つもない事に気づく。
きっとこの先もないだろう。
地平線が見えるほど何もない開放的な大地、かと思うと渓谷のような切り立ったすれ違いもままならない狭い道。
途中からやはりオフロード。
土埃を上げ道無き道を行く。
カーナビなんてないヒシャムは勘で走ってるのか下調べしたのかさえわからない。
とにかく走る。4WDで。
マラケシュから約5時間、町に辿り着く。
ヒシャムが町人に聞きながらやっと一軒の建物に着く。
そこに50代と思われる男性。
その人が博士の現地パートナーのAさんことシーディモハンマドさん。
細身のサングラスの男性。
ヒシャムとメールでやり取りしていた方。
彼が4WDに乗り込んで来た。
どうやらここは目的にではなく彼の誘導の元、プロジェクトの村に行くようだ。
そこからがまた長い。
くねくねの山道。
やはり相当なオフロード。
ヒシャムとシーディさんは現地語で、喋っている。
全くわからない。
でも、笑っていたヒシャムの顔が急に曇る。
なんだろう…
オフロードを1時間程走るとシーディさんが指差す。
村が山の中腹に見えた。
距離にして約1キロ。
だけどそこに見える村へは辿り着かない。
(続く)